ウェルビーイング 〜自分らしく心豊かに |
投稿: |
今日は桃の節句、雛祭り。まだ寒暖差があるものの、日差しが柔らかくなり春めいてきました。 昨今の社会情勢など先行き不安を抱きがちですが、未来のある子どもたちが健やかに育ち、安心安全に暮らせる社会でありますよう心から願います。 今、注目されている「ウェルビーイング」 ウェルビーイング(Well-being)とは、心身と社会的な健康を意味し、多面的な幸せを表わします。いわゆる「自分らしく生きていけている状態」を指します。 私たちは、誰でも「足りないもの」「ハンディキャップ」を抱えながら生きていますが、そんな中でも「足りない」「不十分」を受け入れつつ、「いい部分」に目を向けることで、今ある幸せに気づき、自分らしく、いきいきと充実して生きていくことができるのではないでしょうか。 厚生労働省も「ウェル・ビーイングとは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」と定義しており、より多くの人が生き生きと活躍できる社会の実現を掲げています。 先日、通院中の患者様が事業所で作製した、ちりめん細工のうさぎ雛人形や手の込んだ色とりどりの小物を見せて下さいました(上の写真)。 没頭しながら心をこめて創作した作品を自ら飾って鑑賞したり、人に感動を与えたり、喜んで買ってもらったりすることは、とても楽しく嬉しいことだと笑顔で話してくれました。 この方は、事業所に通うようになり、対人交流も増え、明るく積極的になり、目標もでき、生き生きと充実した毎日を送っておられます。まさに、ウェルビーイングといえると思います。ますますのご活躍を応援しています。 ポジティブ心理学において、よい生き方とはウェルビーイングの定義でもある身体的・精神的・社会的にも満たされている生き方を指します。 心理学の中でも比較的新しい領域であるポジティブ心理学は、米国のマーティン・セリグマン博士により新設され、ウェルビーイングを科学として理論的に測るために5つの要素「PERMA」を提唱しました。 博士の名言に「心理学における最大の発見は、人は考え方を選べるということだ」があり、我々の視野を広げてくれます。 ウェルビーイングを構成する5つの要素 「PERMA」:幸せを感じる5つの心理状態 ・Positive Emotion(ポジティブ感情):楽しさ、充実感、喜び、安らぎ、感謝、希望といった前向きな感情。高める方法として、大切な人と過ごしたり趣味活動など楽しめる活動をしてみる ・Engagement(何かへの没頭):何か(仕事や趣味など)に、時間や悩みを忘れて没頭したり打ち込んでいる状態。 高める方法として、好きな活動に参加したり、日常の活動や仕事に集中したり、自分の強みを知り発揮したりする ・Relationship(人との良い関係):他者(家族、友人、同僚などを含む)に支えられ大切にされていると感じ心が満たされている状態。自己肯定感の向上につながる。良い関係を築く方法として、自分から声をかけて接点を持ったり、相手への理解を深めたりする ・Meaning and Purpose(人生の意義や目的):社会貢献や他者への貢献。人生の意義や存在価値の確認。意義を自覚する方法として、目的を見つけたり、新しく創造的な活動をしてみる ・Achievement(達成感):目的に向かって取り組むこと、何かを成し遂げること。必ずしも社会的成功は伴わなくてもよい。満足感を得られている 当院通院中(70代)絵画作品 体調に波がある中、季節感と彩り豊かな絵画作品を制作されています。作品を眺めていると心が和み優しい気持ちになります 「記憶の上書き」で心を元気に 〜ポジティブ・サイコロジーでうつ予防 嫌な体験をした時には、誰でもマイナスの感情に支配されます。プラスの感情を増やすことでマイナスの感情を軽減させるために「記憶の上書き」をする。つまり、憂うつなマイナス感情の体験1に対し、ポジティブ感情の経験を3にすると(3:1)気分はうつスパイラルに入りにくいといわれています。そして、ポジティブ感情は心血管系のストレス反応も制御するとされています。 気分が落ち込んだ時には、心をリセットしにくいものです。 こんな時には、悲観的になってしまうご自分を否定せず受け止めつつ、思いきってポジティブ感情を引き出せそうな行動を試みるのも一つの方法です。 たとえば、「空を見上げて深呼吸をする」「お気に入りのぬいぐるみやクッションを抱いて安らぐ」「好きな音楽や香りで気持ちを落ち着かせる」など、自分が心地よいと感じる行動をおこしてみましょう。 そして「よく頑張ってきた」「今はこれでいいんだ」とご自分を認め、優しい言葉をかけてあげてくださいね。 このように、自分をいたわる言動を増やし記憶の上書きをすることで、落ち込んだ気持ちが少しずつ楽になるとともに、うつの悪化も防ぎやすくなります。 当院通院中(50代) 絵画作品 仕事の傍ら、趣味の絵画や書道などの創作活動を楽しまれています。将来は個展を開きたいと生き生きと語られる姿に元気をもらいます 今回ご紹介したウェルビーイングは、コロナ禍でいっそう高まった心身の健康や働き方への意識改革から、今、社会や企業で注目されています。 ウェルビーイング(Well-being)は、さまざまな視点から論じられています。 その中で忘れずに大切にしたいのは、幸せのために何かをする(Well-doing)、しなければいけないというdoing(すること)モードにとらわれすぎす、ただここに自分が存在している、ありのまま受け入れるといったbeing(あること)モードを見失わないようにすること。 「自分は大切な存在」との自己肯定感が基盤にあると、生きやすくなるとともに、今ある「ありがたさ」に気づき、さらに自分なりの彩りを加えていくことで生きがいや心の豊かさにもつながるのではないでしょうか。 ご自分をいたわり大切にしながら、あなたなりのウェルビーイングな生き方・過ごし方を見つけていけるといいですね。 当院通院中(50代) 絵画作品 参照 : 厚生労働省 雇用政策研究会報告書概要(案) 「ポジティブ心理学の挑戦」マーティン・セリグマン |
2023年3月3日(金) |
<< 2023年 新年のご挨拶 2023.1.5 |
2024年 新年のご挨拶 >> 2024.1.3 |
はじめのページに戻る |