名古屋市天白区の心療内科精神科 とんぼヶ丘クリニック【心療内科・精神科・うつ病・パニック障害・発達障害・認知症他】
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 謹賀新年
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新年あけましておめでとうございます。

新たな年が皆様にとって健やかで笑顔あふれる幸せな年となりますよう心よりお祈り申し上げます。本年もよろしくお願い致します。



当院は今年、移転20周年を迎えます。

この間、クリニックの周辺は徳重駅をはじめ開発が進み、様変わりしました。

先代院長の故武内義哲が開院し46年が経ち、精神科医療を取り巻く状況も変化しました。

令和となり、時代の要請に応えられるよう地域の皆様に信頼いただけるクリニックづくりに努めてまいります。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。




2020年1月5日(日)

 「もの忘れ検診」〜65歳以上の名古屋市民が対象
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今日も高速道路逆走の高齢者ドライバーによる痛ましい交通事故が報道されていました。

高齢になると、目の機能が低下したり、動作反応の機能、特に複数の作業課題を同時に行う能力が低下し、注意力・判断力の低下や操作ミスが起こりやすくなります。

特にアルツハイマー型認知症では、視空間認知機能低下を生じ、空間の位置関係がわかりにくくなるため、運転中に車の位置がわかりづらくなったり、道を間違えやすくなったりします。

相次ぐ高齢ドライバーの不幸な事故がなくなるよう祈るばかりです。



名古屋市で始まる「もの忘れ検診」

今後、高齢化が進み、認知症高齢者は、2025年には全国で約700万人、65歳以上の5人に1人に達すると推計されています。名古屋市では、認知症は誰もがなり得る身近な病気であるという認識のもと、市全体で認知症に関する施策が総合的に推進されています。


そこで、認知症の人を早期に発見して適切な治療や関係機関につなげることや、予防のきっかけとすることを目的に、令和2年1月より65歳以上の市民を対象に「もの忘れ検診」が1年に1回無料で受けられることになりました。


当院は協力医療機関として登録されました

検診内容は、問診による認知機能検査となります。検診ですので、すでに認知症と診断されている方は受けられません。また、簡易的に検査するものであり、認知症の診断を行うものではありません。検診の結果、認知機能低下が認められる場合には、精密検査が行える医療機関へ案内させていただくことになります。

検診希望の方は、令和2年1月より電話にて予約を承りますのでよろしくお願いいたします。




認知症発症予防につながる生活習慣

現在、認知症の決定的な予防法はありませんが、国立長寿医療研究センター長の遠藤英彦先生は、認知症予防の5ヶ条を下記のように示しておられます。

1、生活習慣病の予防

 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、脳血管障害が原因となる血管性認知症を引き起こす。糖尿病では2倍、高血圧では3倍、アルツハイマー型認知症の発症も高くなることが分かっている。よって生活習慣病を予防することは、認知症の予防として重要

2、有酸素運動

生活習慣病を予防するためにも効果的なのが、ウオーキングやランニングなどの有酸素運動。有酸素運動と知的活動を組み合わせた「コグニサイズ」という運動法が効果的。具体的には、足踏みやストレッチ、ウオーキングなどの運動と組み合わせて計算やしりとりをすることで、運動と認知トレーニングを同時に行うとよい

3、日記などの知的活動

何歳になっても頭を使うことが大事。特に定年退職後は家に引きこもらず、人と関わり頭を使うようにする。具体的には日記、語学、楽器、囲碁、将棋、カラオケなど

4、野菜・大豆などを意識した食事

食べるとよいとされているのが、緑黄色野菜、大豆、大豆製品、牛乳、乳製品、海藻類など

5、慢性的なストレスをなくすこと

不和なく笑顔で過ごす



軽度認知障害(MCI)と早期対応

軽度認知障害と診断されても、必ずしも認知症になるわけではありません。国立長寿医療研究センターの研究結果では、MCIの高齢者の4年間追跡調査結果で46%は正常に戻ったといいます。

最近では、MCIが発見されても、食事や運動、生活習慣などを改善することで、認知症への進行を防いだり発症を遅らせたりできることがわかってきました。

長寿の時代、認知症は年を重ねるごとにリスクが高まり、いつ自分や家族がかかるかもしれません。

来年から名古屋市で始まる「もの忘れ検診」。早期に認知機能低下を発見し、生活を見直すことで認知機能の改善や維持が図れるといいですね!



2019年12月1日(日)

 作品、募集しています♪ 〜折り紙作品の紹介と芸術療法
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秋も深まり、この辺りでも木々の葉が色づき始めました。街路樹のトウカエデは緑色から黄色や鮮やかな赤色の紅葉グラデーションがとても綺麗です。

美しい景色を見るように、心のこもった作品を見ることは、心を動かされます。


ところで、クリニックの患者さんには、絵が得意な方、とても器用で刺繍やお裁縫、レジンアクセサリーなど素敵な作品を作られる方、絵手紙や折り紙を楽しまれる方、音楽が好きな方など、さまざまな趣味や芸術センスをお持ちの方が沢山いらっしゃいます。時々、手作り作品を見せていただけるのも、楽しみの一つです。



折り紙作品

今日は、10代の頃から通っておられる患者さんが、気分をワクワクさせてくれるような昆虫・動物ワールドの折り紙作品を持ってきて下さいました。とても表情豊かで、まるで会話したり動きだしたりしそうで、見ていて笑みがこぼれます。Yさんは、作品を作り上げた満足感とともに、喜んでもらえたことでほっとされたようで、笑顔がステキでした。

芸術の力、好きなことに没頭すること、そして表現することの大切さを改めて感じました。

心温まる作品をありがとうございました!

クリニック待合室に飾らせていただきますね♪


Yさんの作品



芸術療法(アートセラピー)

作業所・事業所やデイケア・デイサービスなどで作品づくりをされている方もいらっしゃると思います。

芸術療法とは、絵画や粘土細工、写真などの表現手段を利用し、言葉では表現しにくい感情や思いを自分の好きな方法を通して表現する心理療法の一種です。

心のうちを視覚的に表現することで、感情を解放したり、自尊感情を高めたり、意欲の回復にも役立てられるといわれています。表現活動によって、絵画療法、音楽療法、コラージュ療法などがあります。

手先を使って五感を刺激し、脳を活性化させることから、近年では、心理的な病や様々な障害を持つ方のみならず認知症のリハビリテーションにも用いられるようになってきました。


ストレスを感じたら、気持ちを抑え込むのではなく、自分の好きな方法で表現し、発散させ浄化させる。イメージを豊かに創造・想像・表現することで、気づきが得られるかもしれません。

ご自身の関心のある分野で、自分のペースで作業しながら完成するまでのプロセスを楽しむ。そして、思いのまま出来上がった作品を周りの方と一緒に鑑賞することで、心の平穏が得られるといいですね。


作品を作ること、そして観ること。

どちらにも癒し効果があります。

作品を見せていただける方、クリニックブログに載せてもいいという方、どうぞお声をかけて下さいね!皆さまの作品を募集しています♪




2019年11月16日(土)

 ストレスを和らげる栄養素〜食生活を見直して心身のトラブルを減らそう
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今日はハロウィン🎃。ハロウィンとは、古代ケルト人が起源と考えられている祭のことで、もともとは秋の収穫祭を祝い悪霊などを追い払う行事のことだそうです。ここ何年か日本のハロウィンは仮装大会のようになっていますよね。

ハロウィンといえばカボチャですが、まず、カボチャの栄養面について触れたいと思います。



栄養宝庫のカボチャ〜ビタミンACE(エース)3つのビタミンが一度に摂れる!

カボチャは、カロテンが豊富なほか、ビタミンCやビタミンEなどをバランスよく含んだ栄養価の高い緑黄色野菜です。

カロテンは体内でビタミンAにかわり、肌や粘膜などの細胞を強化して、免疫力を高める働きがあります。「冬至にカボチャを食べると風邪をひかない」と言われますよね。免疫力が高まると、外から体内に侵入してくる有害な細やウイルスを撃退するだけではなく、抗がん作用も高まります。

ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、活性化酸素の害から体を守って、老化防止や動脈硬化症の予防が期待できます。ビタミンEには血管を広げて血行を改善したり体を温める効果もあるので、冷え性や肩こりを解消する働きもあります。朝晩の気温差が激しくなる秋には欠かせない栄養素ですよね。温かいスープにして飲めば保温効果があり、病後の体力回復にも効果があります。

カボチャの皮やワタ、種もビタミン類、ミネラルが豊富なので、これらも残さずに食べるとさらに栄養価がプラスされます。


カボチャ調理のポイント

特に皮の部分にカロテンが多く含まれているので、皮ごと食べるのがオススメです。種は洗って干したりレンジしたものをフライパンで炒ると、おやつやおつまみにもなります。ビタミンAとビタミンEは脂溶性なので、油と一緒に調理すると体内での吸収率が良くなります。


カボチャ料理

カボチャの料理では煮物が定番ですよね。ビタミンACEの豊富なカボチャにビタミンBが豊富な鶏肉や豚肉を合わせたかぼちゃのそぼろ煮。そのほか、かぼちゃのいとこ煮、パンプキンスープ、かぼちゃと鶏肉のピリ辛にんにく煮、坊ちゃんかぼちゃのグラタンなどさまざまな料理があります。たんぱく質と一緒に摂取すると免疫力もアップするので、和食や洋食などアレンジしてさまざまなメニューを試してみてくださいね!




ストレスを和らげる栄養素

食生活が乱れると心身のトラブルを起こしやすくなります。

今一度、食生活を振り返り、下記の点に注意して心身の健康を維持しましょう。


1、1日3食、規則正しくバランスの良い食事をしましょう

2、タンパク質、ビタミン、ミネラルをしっかり摂りましょう

・脳内神経伝達物質にはセロトニン(調整系:気分を保つ。低下すると不安やうつ、パニック発作などを引き起こしたりするといわれている。体のリズムを整えて快眠しやすい状態にするメラトニンを生成する)、ノルアドレナリン(興奮系:恐怖やストレス時に放出し交感神経を活性化。バランスが崩れるとパニック障害やうつ病を引き起こすと考えられている)、GABA(抑制系:脳の興奮を抑制)などがあり、これらのバランスが崩れると心の健康を保てず、さまざまな症状が出現します

・タンパク質は、身体だけでなく脳の中の神経伝達物質の原料となります。また、ビタミンやミネラル(鉄、カルシウム)は神経伝達物質の合成をサポートします。心の安定化にはこれらの栄養素をしっかり摂ることが大切です

3、うつ気分のときには次の栄養素を積極的に摂るようにしましょう

・セロトニンの原料となるトリプトファン(牛乳、バナナ、豆乳、納豆など)

・ノルアドレナリンの原料となるフェニルアラニン(肉類、魚介類、たまご、大豆など)

・ビタミンB6(マグロ、サンマ、サケ、豚肉、レバー、ナッツ類など)

・葉酸(牛肉、豚肉、緑黄色野菜など)

4、ストレス軽減に効果的とされる3つの栄養素〜ビタミンC、ビタミンB群、トリプトファン(タンパク質)

・ストレスがかかった時に消費される栄養素としては、ビタミンC.E、ビタミンB、トリプトファンがあります。ストレスをうけると副腎からアドレナリンやノルアドレナリンが多く分泌され、その際、ビタミンCが大量に消費されるのでビタミンC(ブロッコリー、ピーマン、キウイ、ミカンなど)を十分に摂取することが必要です。ビタミンCは喫煙によっても失われてしまいますので要注意です。また、ブドウ糖を効率よくエネルギーに変えるためにビタミンB群も必要となります。タンパク質とビタミンB群を豊富に含んでいる豚肉はオススメな食材です

5、精神の安定作用のあるカルシウムやマグネシウムが効果的

・イライラが強く情緒不安定な時にはカルシウム(牛乳、干しエビ、イワシ、ワカサギなど)やマグネシウム(ナッツ類、海藻類)を積極的に摂りましょう。カルシウムの吸収率を上げるにはビタミンDといっしょに摂ることがポイントですが、イワシにはビタミンDも豊富に含まれており絶好の食品です。良質なタンパク質に加えカルシウムとマグネシウムが豊富な豆腐も栄養満点のストレス対策食材です

6、自律神経が乱れやすい場合、栄養不足のことも

・ビタミンB1(豚肉、ウナギ、大豆など)、ビタミンB6(サンマ、レバーなど)、ビタミンB12(あさり、カキなど)は自律神経の働きを正常に保つのに欠かせません。ビタミンB群が不足しないよう注意しましょう

7、インスタント食品やお菓子は摂りすぎない

・砂糖の摂りすぎはイライラを招き(血糖値が急激に上昇後、低血糖になる)、ビタミンやミネラルを消費し、ストレスへの耐性を弱めてしまいます

・インスタント食品中心の食生活では亜鉛やビタミンB群が消費され、ミネラル類の吸収も阻害されるため睡眠リズムが乱れ、イライラしやすくなります

8、飲酒はほどほどに

・飲酒する場合、ナイアシンや葉酸、ビタミンB12 が消費されやすいので、カツオやサバ、イワシなどの青魚、レバー、緑黄色野菜や貝類のおつまみがオススメです。休肝日を設け、量がすぎないように気をつけましょう

(参考書籍 食の医学館)


慌ただしい日々を送っているとついつい食事をおろそかにしてしまいがちです。私たちの身体を作っている栄養素に少し気を配りながら楽しく美味しく食事をいただき、心身のトラブルを減らしていけるといいですね。




2019年10月31日(木)

 腹式呼吸と筋弛緩法〜体をゆるめて心もリラックス
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10月22日、各国の王族などおよそ2000人の参列者が見守る中、皇居・宮殿の松の間で、天皇陛下が「即位礼正殿の儀」で国内外に即位を宣言されました。そして、「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添う」とのおことばを述べられました。

国内外の参列された方々も語られていましたが、陛下の平和を希求する強い思いとともに、荘厳・壮麗で日本の素晴らしい伝統と歴史を感じました。令和の時代が平和であってほしいと願います。


一方、台風の爪痕が各地で残り、今なお多くの方が避難をされ復旧に当たっておられます。被災された方々には心よりお見舞い申し上げるとともに、一日でも早く平穏な日々を取り戻されるようお祈りいたします。


甚大な被害に遭われた方にとって、長引く避難生活や思うように進まない復旧作業の中、気丈に頑張られてこられたものの、過労や過重なストレスにより心身の不調が起こりやすくなってくる時期だと思います。

人と話すことや、素直に感情を出すことで気持ちが楽になることもあります。どうか、一人で抱え込まず、少しでもほっとできる、気持ちが和む時間や場所を作って下さい。

そして、支援の方も、メリハリをつけて休んだり一日一回はリラックスタイムを設けたりするなど、ご自身のセルフケアも忘れないようにして下さいね。




自分に合ったリラクセーション法を身につけておくことは、災害の際だけでなく、日々の生活で役立ちます。呼吸法、自立訓練法、筋弛緩法、ストレスコーピングなどさまざまな方法があります。今回は、腹式呼吸と筋弛緩法を紹介します。


腹式呼吸(丹田呼吸法)〜深い呼吸で体も心も整えよう


丹田(おへその下)を意識した、ゆっくりとした呼吸は、肺に取り込む酸素の量を増やして血流をよくしたり、体をリラックスさせる副交感神経の働きを促します。また、心の安定を司るセロトニンの分泌も促され、イライラや憂うつ気分を和らげる働きも期待できます。ヨガの呼吸法も同様です。


椅子にかけて行う方法です。実際には座禅するとよいのですが、まずは深い呼吸をすることから始めましょう。

1、リラックスして、へその下に手を当て、目は軽く閉じる

2、口から(慣れてきたら鼻から)息を吐ききり(6秒ほど)、へその下をへこませる

3、鼻から息を吸い(3秒ほど)へその下をゆるめ自然に膨らませる

*息を吐き切ったときに、自然とへその下が膨らんでくるのを感じるようにする

*1では右手を胸に左手をおなかに置いて、左手だけが動くような形で深くゆっくりとした呼吸を行うのも練習になります




筋弛緩法(漸進性筋弛緩法)〜体に力を入れて一気に抜こう


ふだん私たちの体には力が入っていますが、ストレスがかかるとますます体に力が入った状態になります。リラックスしようと思っても、逆に力が入ってしまい力を抜くのは難しいものです。そこで、”意識的に力を入れる⇔力を抜く”という運動をすることで無意識に入っていた力も一緒に抜くことができます。


体の各部位の筋肉を緊張させた後、ストンと一気にゆるめることを繰り返して、体の緊張をほぐします。できる部位だけ行うこともできますが、順番に全身に対して行うと一層効果的です。


基本動作:10秒間(5秒程度でも可)力を入れる→一気に力を抜き、その感覚を20秒間(10秒程度でも可)感じる

部位ごとの力の入れ方

1手:両腕を伸ばし、親指を曲げて握りこぶしを作り、力を入れる→脱力

2上腕:握りこぶしを肩に近づけ、曲がった上腕全体に力を入れる→脱力

3背中:2と同様に曲げた上腕を外に広げ、肩甲骨を引きつける→脱力

4肩:両肩を挙げて首をすぼめるように肩に力を入れる→脱力

5首:右側に首をひねって力を入れる→脱力 左側も同様に

6顔:口をすぼめ、奥歯をかみしめて顔全体を顔の中心に集めるように10秒間力を入れる→脱力(ゆるめた時には、口がぽかんとした状態に)

7腹部:おなかに手を当て、その手を脚返すように力を入れる→脱力

8足の下側:つま先まで足を伸ばし、足の下側の筋肉に力を入れる→脱力

9足の上側:足を伸ばし、つま先を上に曲げて、足の上側の筋肉に力を入れる→脱力

10全身:1〜9を一度に10秒間緊張させ、力をゆっくり抜いて、その感覚を20秒間感じる

*力を入れているときも抜いたときも、その部位の感覚をじっくり味わうことが大切です。特に力を抜いたときの、じんわりとゆるんでポカポカとあたたかくなる感じを味わいましょう。

*時間や力の入れ方も無理のないように7、8割程度の力で行いましょう。

*さいごに体から力を抜いたまま、リラックスできる心地よい場面をイメージします

(協会けんぽ健康サポート 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義監修 参照)


簡単リラクセーション

これらを全部やる余裕がないときには、まず力を抜いたまま両手をたらして2、3回ゆっくり腹式呼吸した後、手の力を入れて抜いたり肩に力を入れて抜く動作を行っても簡単なリラクセーションを行えます。


今回、紹介した腹式呼吸と筋弛緩法。疲れがたまっていたり、ストレスを感じたりしている時にはもちろんですが、仕事や家事の合間など普段の生活にも取り入れて、体も心もリラックス&リフレッシュできるといいですね。




2019年10月24日(木)

 「無」になることで心の安定とともに創造力も高まる⁈〜瞑想と坐禅の試み
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ラグビーW杯で日本チームの躍進の最中、旭化成 名誉フェローの吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞されました。おめでとうございます!

吉野氏が開発されたリチウムイオン電池は、軽量かつ高出力で充電して何度も使えるのが特徴といい、スマートフォンやパソコンなどに広く使われており、今や我々の生活には欠かせないものですよね。

吉野氏は、記者会見で、「研究には頭の柔らかさと執着心が大切だ」と語っておられました。そして、「アイデアはぼーっと何も考えずにいたときのほうが、自然に浮かんできたのも不思議だね」とも話されていたそうです。



ノーベル受賞者や発明家の方々は、「何も考えないでいる時に斬新なアイデアが浮かんだ」とよく言われます。もちろん、ひらめくためにはたゆまぬ努力があってこそだと思います。

瞑想は発想力を豊かにするといわれ、スティーブ・ジョブスが瞑想のおかげで様々なアイデアが生まれたと語ったエピソードは有名ですよね。


坐禅体験

先日、京都のお寺で坐禅の体験をしました。

若い方を中心に外国の方もいらして、坐禅への関心の高さが窺えました。

日常から離れ、静寂の中、体を落ちつけ動じない形に安定させ、心を一か所に集中し自分と向き合い「無」になる。坐ることによって身・息・心を統一するのが坐禅ということです。

僧侶によると、宗派によって細かいところは異なるものの、坐禅するときの心構えは3つあるといいます。

・無になること

・最初は無になることが難しいので、その場合には、過去、今、未来の自分を離れて見るようにする

・聴こえてくる音や風などに集中する

10分、15分の座禅でしたが、とてもゆっくりとした時間が流れ、頭の中がすっきりと清々しい気持ちになりました。




禅IT

福井の永平寺町ではシリコンバレーから移り住んだアメリカ人の若者が禅を学び、禅ITの活動を行っていることが報道されていました。

仕事前に体だけでなく心も落ち着かせる。仕事上、長時間パソコンやスマホを見るため、時間を区切って坐禅を行うことにより、目の前の作業に集中でき、違う考えが浮かぶようになるといいます。


さまざまな瞑想と座禅

瞑想にはマインドフルネス、ヨーガ、仏教、坐禅などいろいろなやり方や形があります。

目的も異なり、仏教では悟りを目指し、マインドフルネスでは心身の健康を目指します。


「マインドフルネスストレス低減法」の著者でもあるマサチューセッツ工科大学医学部名誉教授 ジョン・カバットジン氏は8週間のプログラムを開発し、慢性疼痛や不安、うつの改善があることを実証しました。

最近は脳科学や免疫学の分野でもその効果が実証されつつあります。「マインドフルネス瞑想法というのは、”今”という瞬間に完全に注意を集中するという方法」「瞑想は”ただ存在する”という体験をもたらしてくれるもの」と同氏はいいます。


日本マインドフルネス学会の越川房子理事長も、マインドフルネス瞑想の訓練をすると、不安から逃れようとするときに促進される「することモード」より、現状を受け入れる「あることモード」になりやすく、ストレスや不安の軽減につながるといいます。

また、瞑想で「思考」を切り離す訓練をすることで、思考と自分との間に隙間が生まれ、自動的にわいてくる思考や感情に巻き込まれにくくなるといわれます。自分を苦しめる思考パターンや行動パターンに気づき、それを減らしていくことで、ストレスや苦しみが減っていくことが期待されます。



マインドフルネス瞑想と坐禅、ヨーガを実践してみて、違いはあるものの「自分の心の中」に関心を向ける東洋思想や技法がベースになっていること、そして、東洋思想への関心の高さも感じました。

「今この瞬間を大切にする」という姿勢で、自分がやりやすい方法で瞑想を日々の生活の中に取り入れていくことで、心穏やかに心身の健康を保っていけるとよいのではないでしょうか。


この分野は奥が深いですが、臨床に活かしていく方法をこれからも考えていきたいと思います。



2019年10月10日(木)

 ランチョンミーティング〜医療者としての心構え
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「暑さ寒さも彼岸まで」と言うように朝晩は気温が下がり暑さが和らいできました。出勤前に空を見上げると、青空の中にハケで描いたようなすじ雲が見られました。夜には虫の鳴き声が聞こえ、秋らしくなってきました。

季節の変わり目は、自律神経の乱れによる体調不良を生じやすい時期です。さわやかな秋空の下、ウォーキングなどで体を動かし、睡眠と栄養をとって調子を整えていけるといいですね。




さて、今日の院内ミーティングでは反省会とともに医療安全管理研修を行いました。

まずは、当院の不手際で患者様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

院内および院外の連携不足についても深く反省し、今後の再発防止と対策について話し合いました。


今後は、確認不足による間違いがないようスタッフ間のコミュニケーションを密にとり二重チェックを行うこと、病診連携を速やかに行うこと、そして、わかりやすく丁寧な説明を行うことを心がけ実行してまいりたいと思います。

我々は、医療を求めて来られるお一人お一人に真摯に向き合い、その方の状況を考慮しながら適切な医療を提供させていただく所存です。

受診されるまでさまざまな思いを抱きながら勇気を出して受診された方々に、受診してよかったと思っていただけるようスタッフ一同全力で取り組んでまいりたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。



今回、患者様にご指摘いただいたことで、初心に立ち返り、医療者として日々の行いや医療について、改めて考える機会となりました。


医療を受ける側と提供する側〜両方の視点から医療を考える

医療を受ける側として

私事になりますが、家族の入院で付き添った際に感じたことがあります。

患者さんや患者家族はこんなに大変な思いをしているのだと実感したとともに、いつもの医療者として見える景色と全く異なりました。

治療を受ける本人や家族にとって、流れている時間の長さ、医師や看護師、病院スタッフの言葉や振る舞いがとても気になり影響を受けること。病気になって心身が弱っている本人や看病疲れの家族の気持ち。。初めての治療を受ける不安、検査結果が出るまでの不安、一つ一つが不安で仕方ない。医療者は忙しそうにしているが、きちんと向き合って適切に治療してくれるのだろうか。。もう少し優しく丁寧に接してほしい。。辛い時は時間が長く感じてしまう。。


医療を提供する側として

医療者は患者さんと全く同じ体験はできないものの、どんな気持ちでいるかを想像し、自分ならどうしてほしいか、どのような言葉に励まされ、反対に傷ついてしまうのか、よく考えて言葉を発していかなければなりません。

患者さんは治療の侵襲でただでさえ苦痛であるのに、医療者の何気ない言動で苦痛や不安が増すようなことはなくさなければならないと思います。



医療は医療者と患者さんとの協同作業で信頼関係が大切

医学は日々進歩していますが、医療に100%の確実性はないと言われています。だからこそ、十分な説明と同意を元に治療方針を選択していくことになります。

我々医療者は常に患者さんの立場を尊重し、そして患者さんも遠慮なくご自身の気持ちを伝えていただき協力し合うことで、より良い信頼関係を築き、納得のいく治療を行っていくことができると思います。


いつも医療者側にいると気づきにくいことを患者様から教えていただくことが度々あります。これからもどうぞ忌憚のないご意見をお聞かせ下さい。

今回のご指摘を真摯に受け止め、安心して受診いただけるようなクリニック作りに努めてまいりますのでよろしくお願いいたします。




2019年9月25日(水)

 今月の花
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遅くなりましたが、今月のお花を紹介させていただきます。

プリザーブドフラワーは生花を特殊液(食用の着色料等)に浸して乾燥させた花です。生花のような瑞々しい質感を保ちつつ多彩な色合いと豊富なアレンジが魅力的ですよね。


待合室出窓には、鮮やかなオレンジの胡蝶蘭と菊でアレンジしたプリザーブドフラワーを飾りました。夏の疲れを少しでも癒していただけると嬉しいです。


受付窓口には、赤や淡いピンクのバラを中心に秋らしい色合いのプリザーブドフラワーを置きました。昨年作ってもらったのものですが、自然な風合いを保っています。


診察室机に。黄色いバラをアクセントにバイオレット色調にまとめられています。ガラスの器の飾りも手作りで、中には紫陽花の花びらが顔を覗かせています。心が和み優しい気分にさせてくれます♪



2019年9月10日(火)

 マインドフルネス〜過去や未来にとらわれず「今ここ」に心を取り戻そう
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9月に入りましたが、蒸し暑く不安定な天候となっています。衣類の調節や温度調整をしながら体調管理をしていけるといいですね。


先週金曜日土曜日の診療後、名古屋市内で開催されていた日本認知・行動療法学会のワークショップを受講しました。医療だけでなくさまざまな分野の若い方が多く参加されていて、とても活気があり刺激を受けました。

最近、注目されているマインドフルネスについても実践してきました。


そして日曜日は、精神保健指定医の更新のため東京で終日研修を受けました。

事例研究のセッションでは、医師、役人、法律専門家それぞれの立場から活発な議論が行われました。私自身、現在は精神保健指定医として入院に関わる診療や判定は行っていないものの、その他の公務員としての職務もあり、さまざまな視点から考えさせられ勉強になりました。



さて、今日は受講したマインドフルネスについて簡単に紹介させていただきますね。


最近よく耳にするマインドフルネスは、1970年代より米国を中心に科学的・医学的な研究が進み、ストレス低減効果が実証されている瞑想の一つです。古代仏教の修行として用いられたものから宗教的な要素を除きトレーニングしやすくなったことからGoogleなど一流企業で導入され米国でブームとなり日本で適用が広がりました。

マインドフルネスとは、「今ここ」に集中することで、自分の思考や感情に「気づく」力を高めるトレーニングのことです。

日本マインドフルネス学会では、マインドフルネスを「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と定義しています。

過ぎ去った過去を手放し、将来への不安からも離れて「今ここ」に意識を置くことで、自分自身を苦しめている考えから距離をとりやすくなり、心の安定、自律神経のバランスを整えたり不安の軽減が得られます。


ワークショップの講師、琉球大学の伊藤義徳先生は「マインドフルネスのトレーニングは心の筋トレといって続ければ続けるほど効果が出てくるので、正しさや形にとらわれず、まず1日5分からでも続けてみるとよい」と仰っていました。



マインドフルネスのやり方

1、良い姿勢で座る

あぐらでなくても正座や椅子でも可能です。椅子の場合、手のひらを下に向け膝や太ももの上に置き、無理をしない程度に背筋を伸ばし肩の力を抜きます。そして目をつむってリラックスします(目は閉じても開いてもよいですが、目を開いた場合には伏し目がちに1.5m先の床を柔らかく眺めます)。この時、身体の感覚に意識を向けます。手や太もも、お尻が触れている感触を感じ取りましょう。


2、自分の呼吸に意識を置く

今まで無意識に行っていた自分の自然な呼吸に意識を置きます。


3、感情や思考が浮かんでも、それを追わず呼吸に戻る 〜集中→気づき→戻す

何か考えていることに気づいたら、それを追いかけず「考えた」と心の中でつぶやき意識を呼吸に戻します。感情や思考に何も判断を加えず、そのままにして「気づいて戻す」を繰り返します。雑念が浮かんでも無理に消そうと思わず流していきます。身体のいろいろな部分の感覚が気持ちよくても悪くても、何もせず、瞬間瞬間気づきにとどめます。



マインドフルネスを実践してみると、今ここに集中しようと思っても、終わった仕事のこと、明日の食事のことなど、実にさまざまな雑念が浮かんできました。

講師の先生によると、心がさまようことに対し自分を責めず、良い瞑想を目指そうと思わず、単に瞬間瞬間に起きてくることに気づくことが大切だそうです。雑念が浮かんできても、あ〜浮かんできたと気づいて、また、今ここに集中する、その繰り返しでいいということでした。短時間でしたが、やっていくうちに不思議と静かで穏やかな気持ちになりました。


普段忙しくしていると、そんな時間がない、余裕がないと思ってしまいますが、10分や15分スマホを眺めている時間をマインドフルネスで癒しの時間にあてられるといいですよね。

まずは自ら実践を重ねてみて、今後、治療に活かしていけるといいのではないかと考えています。


情報が溢れ慌ただしい世の中です。スマホやパソコンから少し離れ、静かでゆったりした時間の流れを感じられるひとときを過ごすことで、心の安らぎを得られるといいですね(*^-^*)




2019年9月3日(火)

 ライフサイクルとストレス〜我が身を振り返って
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処暑が過ぎ、朝晩涼しくなりましたが、もうしばらく日中は残暑が続くようです。

夏の疲れが出やすい時期なので、睡眠と栄養をしっかりとって体調を整えて下さいね。


さて、今日は、ストレスに備えられるようライフサイクルのお話をしたいと思います。



発達心理学におけるライフサイクル理論

エリク・H・エリクソンは、「人は年齢を基準とする時期に応じて生涯を通して発達する」と考え、人生を8つの段階に分け、それぞれ解決すべき発達課題と達成できないときに陥る危機について心理社会的発達理論として提唱しました。


(時期年齢)         (心理的課題)

乳児期 0〜1歳半  基本的信頼感 対 不信感

幼児期初期 1歳半〜3歳  自律心 対 羞恥心

幼児期後期 3〜6歳    自主性 対 罪悪感

学童期 6〜13歳    勤勉性 対 劣等感

青年期 13〜22歳      アイデンティティ 対 アイデンティティの混乱

成人期初期 22〜40歳    親密 対 孤立

成人期後期 40〜65歳   世代性 対 停滞

老年期 65歳〜      自己統合 対 絶望


この中で注目すべき課題は

乳児期の基本的信頼感の確立

青年期におけるアイデンティティ(自我同一性=自分が自分であること)の確立です。



基本的信頼感とは

大切に養育してくれて愛情や甘えの欲求を受容してくれる養育者への信頼感を通して、自分という存在を肯定的に捉え、外界は信頼するに足りるものだという感覚を持つことです。

人に対して信頼感や安心感を持てることで、生涯にわたって情緒的に安定して過ごせるための土台が作られます。

一方、乳児期に得た体験により基本的信頼感が希薄であると、人に対して不信感や不安感を抱きやすく、対人関係が不安定になりストレスを感じやすくなります。

乳児期には、養育者が自らの生理的欲求をかなえてくれて(泣くと授乳やオムツ替え、抱っこをしてくれて)安心できるという体験が重要になります。



アイデンティティの確立

アイデンティティは、自我同一性ともいい、自分がありのままの自分としていつづけたいという一貫性と、社会的に役割を果たし、同時に社会に認められているという自信、つまり「これが本当の自分」という概念です。

この時期に同年代の人との間に親密な関係が生まれず、社会集団の中で自分の立ち位置や役割がわからなくなった場合、自己を見失いやすく、アイデンティティの危機と呼ばれます。

現代は、社会的要因(価値観の多様化や不安定就労の増加など)によりアイデンティティの獲得が遅れることも多く、青年期が延長しているとも言われます。自立できず依存が長引き、引きこもり、パラサイト・シングル、フリーター、ニートといった状況は、社会的問題にもなっています。

青年期は、親からの精神的な分離を図りつつ、経済的にも自立する準備をする時期であり、自分自身を見つめながらアイデンティティの確立を行うことが重要なテーマとなります。




診療していて思うことは、青年期の親子関係の再構築についての重要性です。ピンチはチャンスというように、青年期の子どもが何らかの悲鳴をあげている場合(心身不調や行動化など)親子関係を見直すいい機会と捉え、適切に対応することが必要です。

簡単に言うと

親が強すぎると子が自立しにくい。

今まで親に従順であった我が子が、自ら意見を述べたり反抗的態度をとる際、つい怒ってしまったり親の意見を押し付けたくなります。親として社会的教育的視点から意見を伝えることは必要ですが、子どもがアイデンティティを獲得するための邪魔をしないようにしたいものです。

親や周囲の大人達は青年に対し、自立しようとしている一人の人間として尊重し応援してあげられるといいのではないでしょうか。


ライフサイクルにおけるメンタルヘルス不全に陥らないためには

自ら各時期の発達課題をクリアしてきたか振り返りつつ

我が子が心理社会的危機に陥っていないか考え

ライフイベントを上手く乗り越えていけるといいですよね。





そして、個人と同じように家族にもライフサイクルがあり、そのステージにおいて発達課題があります。


家族ライフサイクル

1、独身の時期−家からの巣立ちと家族の基盤づくり−:職業を選択し経済的に自立する。同年代と親密な仲間関係を持つ。親と適切な関係を保つ

2、新婚の時期−二つの異なる家族システムの結合ー:幸福なイメージの時期であるが、家庭生活と仕事のバランスをとらねばならず、また、価値観や家族観の違いに直面し葛藤が生じやすい。夫婦の信頼関係を形成するためにはアサーティブな姿勢が重要

3、乳幼児を育てる時期−幸せとストレスの狭間−:子供の誕生は至福の喜びをもたらすと同時に、心理的、肉体的、経済的なストレスをもたらす。家事育児の分担や子育ての方針などで衝突しやすい。解決しつつ親としての役割を務めながら夫婦の絆を保てるとよいが、うまくいかないと悪化する危険性がある

4、学童期の子供を育てる時期−生活の広がりと境界の維持−:子供の能力や個性に合わせた育て方が重要であるが、教育面で夫婦の対立が起きやすい

5、思春期青年期の子供を育てる時期−健康な家族でも揺れる段階−:さまざまな子供の問題や親子の衝突が起こりやすくなり、家族ライフサイクルの中で最も困難な時期。子供の自立と依存、思春期危機に対し夫婦が協力して補い合い適切に対応できるかがポイント

6、子供の巣立ちの時期−岐路に立つ家族−:子供が進学や就職、結婚により巣立ち、子離れの時期。家庭が親子関係中心から夫婦関係中心となる。子供との関係が密な母親は巣立ち症候群(抑うつ)になりやく、夫婦関係が良好でない場合には夫婦の危機ともなりやすい。子供とは適切な距離を保ち、夫婦関係の再構築を行う

7、老年期の家族−さまざまな別れと人生の統合−:自身やパートナーの老化に直面し、親しい人の死別など喪失体験を受け入れていく必要がある。良き祖父母など年長者としての知恵と経験を生かしていく

(参考文献:精神療法 2009年2月号 家族ライフサイクルを活かす〜臨床的問題を家族システムの発達課題と危機から捉えなおす)



ここで、ライフサイクルとストレスとの関係について、具体的にみていきたいと思います。


ライフサイクルの各ステージは人によって異なりますが、女性の場合、結婚出産や家族の影響を受けやすく、それに伴い、仕事の仕方や調整が必要になります。自分が思い描くようにいかないことも多く、仕事と家庭の両立の悩み、身内の悩みを抱えやすくなります。


一方、男性は、女性が育児家事に追われている時期には、仕事において資格取得や研鑽を積む時期にも当たり、長時間労働によって家庭に時間とエネルギーを費やす余裕がないこともしばしばです。

育児は父親として子供の成長に関われるだけでなく、自らの視野を広げ人生が豊かになることでもありますが、男性社会である企業の理解もなかなか進んでいないのが現状ではないでしょうか。


それぞれの家庭事情によりますが、現在の日本社会では、どうしても女性に育児負担が多くなっています。働く女性にとって、また、就労していなくても不調を抱えながら育児をほぼ一人で担う女性にとっては、次のような不安材料がのしかかってきます。


育児休暇をいつまで取るのか

保育園に入れるのか

送迎の時間は大丈夫か

子供が病気になったら誰がみるのか

小学校に入ったら放課後はどうするのか

習い事の送迎はできるのか

PTAや行事の参加はどうするのか

中学高校でのお弁当、部活の応援や父母会

思春期危機をどう乗り越えるのか

兄弟関係、友達関係

学業の心配、塾や進路をどうするのか、、、等々

子供の成長に応じて心配や課題が次々とやってきます。


診療していても、このような不安や心配事を抱え、ストレスを感じている方が沢山おられます。そんな時には。。



子育て中に少しでも気持ちが楽になるように♪


一人で抱え込まないで、相談相手を作る

子育てチームを組めると心強い

何を大切にするのか、そのために何を選択して何を削るのか、自分なりに考える

その上で、周りに具体的な支援をお願いする

あらかじめ情報収集をし経験者から話を聞く

同じ立場や共感共有できる人と交流する

欲張らず大事にしたいことを優先させる

迷っても決めたことを良しとする

見通しを立てる

上手くいかなくても自分を責めない

がんばっている、それなりにやっている自分を褒める

そして何より  今を楽しむ!



私の場合も、仕事が忙しい夫に頼れず、仕事と家庭の両立に悩みながら20数年走り続けてきました。綱渡りのような時期もあり、紆余曲折ありましたが、今年、下の息子が大学に進学し子育てを卒業。

子育て中は葛藤を抱えながらも、なるべく長いスパンで考えるようにしていました。

20代 学業と仕事

30代〜40代 仕事と子育て

50代 仕事と趣味?

自分なりに大まかに区切って、今の時期はこれでいいんだと納得させるようにしていました。

そして、全てのことをできるわけではないので、こちらを選んだからには諦めも肝心と思うようにして、必要以上にプレッシャーやストレスをかけないようにしていました。もちろん、子育ての間も仕事の手を抜いた訳ではありませんが、時間的制約のため、やりたいことをやり残してきたことも事実です。

こうして仕事を続けられたのも、子供が小さい時には、当直のない常勤的非常勤として、子育て経験の豊富な女性医師やスタッフのいる職場で働けたことや上司の理解など恵まれた環境だったことも幸運でした。そして、家族をはじめ保育園、学童、学校、友人など支えて下さった周りの方々に感謝しています。


これからは、人生後半。

今までの臨床経験や人生経験を患者さんや社会に還元していけると幸いです。ブログを始めたのも、そんな思いからです(*^-^*)

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



最後に

現在、男女を問わず、ワークライフバランスが重要視されるようになってきています。

どのような人生を送りたいのか、仕事と家庭や趣味とのバランスをどのようにとっていくのか、何を大切にしていくのか、自ら考えてデザインしていくことが求められています。

キャリアをいつ、どのように積んでいくのか、自ら選んでいくとともに、それが叶えられるよう、社会や企業にもシステムづくりや理解を深めてもらいたいと願います。


自らの生きがいを大切にしながら、親子・夫婦の関係共に適切な距離を保ち(つかず離れず)次にやってくるであろうライフイベントや環境の変化に対し準備を行うことで、少しでも余裕が持てるのではないでしょうか。

置かれた環境や状況によって、工夫の仕方は人それぞれだと思います。

ご自分なりのペースやライフサイクルに合わせて、ストレスに備え、あるいはストレスと上手く付き合いながら、健康に過ごせるといいですね!



2019年8月25日(日)

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